夕方にたくま君連れてくるよとお母さんに話し、たくま君とこに行ったら、すでにスーツを着込んでいた。
まだ午前中だったので、
「夕方行くんだから、まだ着なくていいよ」
といったけど、
「もう着ちゃったんだからいいでしょう!!!」
と緊張のあまり、妙にヒステリックになっており、どうでもいいことで声を荒げる始末。
こりゃいかんと思い、カラオケボックスに連れて行き、一緒に歌を歌ったりして励ました。
「うちのオヤジはただのデブだよ〜♪
全然怖くないよ〜♪
あんたんとこのマフィアのほうが怖いよ〜♪」
と話して聞かせた。
実際、オヤジの恐怖度でいったら、たくまくんちの父さんのほうが見た目は怖いのだ。
立派なヒゲを生やしてて、葉巻を吸うし。
見た目、香港マフィア。
たくま君ちには猫の他に、一体何年生きてるんだ?と思われるでかい亀も2匹おり、いつも大型水槽の中で暴れている。
たくま君ちに、友達が遊びに来ると、たくまパパが現れ、
「ただで遊んで帰るつもりかい?
(亀の)水槽を洗っていきなさい。」
と有無を言わさず、亀の世話をさせるのだそうだ。
高校生、大学生になっても、たくまパパはたくま君の友人を見かけると、必ず水槽の掃除をさせるので、
友人たちからは「亀マフィア」と恐れられていたという。
カラオケして、リラックスしたのか、たくま君も徐々に普段の落ち着きを取り戻し、適当に時間をつぶして、いざ私の実家へと向かったのだが、2月にも関わらず、彼は汗だらだらだった。
家に行ってみると、めったに掃除をしない、うちの実家の居間がこれでもかというほど、
きれいに整理されており、幾分押入れが膨らんでいるように見えた。
…突っ込んだな、母さん。
思わず
「うちって案外、広かったんだねぇ〜」
と呟いた。
父さんが落ち着かないのか、巨体をざぶとんの上でゆすっている。
ばあちゃんと、母さんと父さん、そして呼んでもいないのに、興味本位で妹や弟も現れ、居間は人でいっぱいになった。
弟はたくま君の顔を見るなり、
「スネ夫に似てる!」
と失礼なことを言い出し、たくま君が狼狽。
ばあちゃんはたくま君が結婚の挨拶を始める前から、
「きょんちゃんと結婚するなら100万円
よこせ!」
と言い出し、さらにたくま君は困惑。
*のちにたくま君は本当に100万円を用意してくれた。
こうして外野がごちゃごちゃ勝手に話し始める中、私がそれを遮り、たくま君に自己紹介してもらった。
父さんが仕事や、健康状態についてたくま君に質問し、さらに一緒に釣りに行きたいからか、
「釣り、好き??」
とか、どうでもいい質問まで繰り広げたが、たくま君は汗をかきかき、穏やかに、丁寧に回答した。
最後にはしっかりと
「大事にしますんで、きょんこさんを
僕に下さい!」
と言ってくれた。父さんはちょっと黙った後で、
「…返品不可だからな。」
と答え、結婚は了承された。
あとはわきあいあいと寿司をみんなで食べた。
安心したたくま君がテーブルの下で私の手をきゅっと握って、にこっと笑ってくれた。
汗っかきの、その手は案の定、ぐっしょりと湿っていたけど、私はすごく嬉しかった。
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たくま君の弟は東京でテレビ番組のADをしている。
先日は、安田大サーカスのヒロの衣装探しに奔走したとのこと。
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